この記事の要点
- 全国の系統用蓄電池の契約申込量は2025年9月末で約2,400万kW、前年の約3.9倍に達し(資源エネルギー庁・OCCTO資料)、接続段階の競争が参入の最初の関門になっている。
- 参入の全体像は「系統接続(接続検討→契約申込)→事業者登録(特定卸供給の届出など)→各市場への参加」の3段で進み、需給調整市場はその最終段にあたる。
- 需給調整市場への入口要件は「受電点の電圧が高圧以上」かつ受電点参入のリソースであること(EPRX 揚水・蓄電池ガイド第3版、2026/3/14基準)。
- 供出可能量が1,000kW以上なら単独で「揚水・蓄電池」種別として入札でき、1,000kW未満は束ねてVPPで参入する。出せる商品と通信投資は容量×電圧階級×通信方式の3つの組合せで決まる。
- 放電は揚水発電等、充電は揚水動力等として別々に計量・精算し、受電点計量は30分単位(取引規程ver.18、2026/7/1施行)。
一文要約
全国の系統用蓄電池の契約申込量は2025年9月末で約2,400万kWと前年の約3.9倍に膨らみ(資源エネルギー庁・OCCTO資料)、参入はまず系統接続の段階から競争になっている。系統用蓄電池が収益を得るまでの道のりは、系統接続(接続検討と契約申込)、事業者としての登録、そして各市場への参加という3つの段で進む。需給調整市場はその最終段にあたり、入口要件はEPRXの揚水・蓄電池ガイド第3版(2026年3月14日基準)が定める「受電点の電圧が高圧以上で受電点参入のリソース」であること、供出可能量1,000kW以上なら単独入札、未満ならVPPでの参入になる。蓄電池は放電を揚水発電等、充電を揚水動力等に読み替え、容量・電圧階級・通信方式の組合せで監視方式(オフライン/オンライン)と参入可否が決まる。本記事は当社による解説として、この全体フローと需給調整市場の入口要件・通信区分・計量精算を一次資料にもとづいて順に整理する。

参入は接続・登録・市場参加の3段で進む
系統用蓄電池を需給調整市場で動かすまでには、いきなり市場の入札画面に向かうのではなく、その手前に二段の準備がある。当社の整理では、全体は「系統接続」「事業者登録」「市場参加」の3段で捉えると見通しがよい。
第一段は系統接続だ。蓄電池を系統につなぐには、一般送配電事業者やOCCTO(電力広域的運営推進機関)への接続検討の申込から始め、技術検討を経て契約申込へ進む。第二段は事業者としての登録で、複数のリソースを束ねて市場に出すなら特定卸供給事業(アグリゲーター)の届出が必要になる場合がある。第三段が市場参加で、容量市場・卸電力市場・需給調整市場といった各市場ごとに参加登録と要件適合を行う。
この3段は前から順に積み上がる構造で、後ろの段は前の段の結果を引き継ぐ。たとえば需給調整市場の入口要件である「受電点の電圧」は、第一段の系統接続でどの電圧階級につないだかで決まってしまう。だからこそ、市場参加の条件を見据えて接続段階の設計を決めるのが現実的だ。系統制約そのものの今後の動きは系統制約の今後とノンファーム型接続・次期中給で整理しているので、接続段階の前提としてあわせて確認してほしい。




