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  • 高度化法の非化石44%目標と第3フェーズ|証書調達と蓄電池
  • 需給調整市場の参入前性能確認:書類審査・第三者データ・実働試験の流れ
  • 需給調整市場の上限価格(報価上限):商品区分別のFY2026値と今後の見直し論点
  • 二次調整力①の参入要件 — 専用線オンライン前提と遅れ時間(新設30秒・既設120秒)を蓄電池の視点で読む
  • V1・V2単価登録とkWh精算の実務:毎週火曜14時締切・右肩上がりの段階単価(2026年7月版)
  • 容量拠出金の実務(2026年度):小売の支払スケジュールと経過措置控除

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アグリゲーション実務

V1・V2単価登録とkWh精算の実務:毎週火曜14時締切・右肩上がりの段階単価(2026年7月版)

V1/V2 Unit-Price Registration and kWh Settlement in Japan's Balancing Market — Weekly Tuesday 14:00 Deadline and Monotonic Step Pricing (July 2026)

需給調整市場のkWh価値精算に使うV1(上げ・放電)/V2(下げ・充電)単価は、土〜翌週金分を毎週火曜14時までにMMSへ登録する。単独発電機は運転パターン最大10×出力帯最大20で右肩上がりの段階単価が必須、一次調整力だけは登録不要。EPRX取引規程ver.18第18条にもとづき、週次登録と段階単

公開日: 2026/6/25更新日: 2026/6/25

CONTENTS

  1. この記事の要点
  2. 一文要約
  3. 需給調整市場の収入は2階建て — ΔkWとkWhの違い
  4. V1とV2の意味 — 上げと下げで別単価
  5. 登録のタイミング — 毎週火曜14時が締切
  6. 単価カーブの作り方 — 右肩上がりが必須
  7. 蓄電池ならではの扱い — 収入と支払いが両方ある
  8. 登録が要らない商品 — 一次調整力は対象外
  9. V1・V2登録ルールの全体像
  10. 運用業務への落とし込み — 週次フローの設計
  11. まとめ
  12. 参考文献
  13. よくある質問

この記事の要点

  • 需給調整市場の収入は2階建てで、容量(ΔkW)への対価と、実際に動いた電力量(kWh)への対価に分かれる。V1・V2はこの後者、kWh価値の精算単価である。
  • V1は上げ調整電力量料金(蓄電池では放電に対応)、V2は下げ調整電力量料金(同・充電に対応)。単位は円/kWhで、銭単位まで設定する。
  • 単価は当該週(土曜から翌週金曜)分を、毎週火曜14時までにMMS(市場運営システム)へ登録する。登録後の変更は各30分コマの実需給開始時刻の1時間前まで可能。
  • 単独発電機は運転パターン最大10×出力帯最大20通りの刻みで単価を置き、常に上位帯が下位帯を上回る右肩上がりの単調制約に従う。一次調整力だけはV1・V2の登録が不要(取引規程ver.18 第18条)。
  • 火曜14時の締切に合わせ、当該週分の段階単価を設計・登録する作業を定例業務に組み込むことが、アグリゲーター・蓄電池事業者の実務上の起点になる。

一文要約

需給調整市場で実際に動いた電力量の対価(kWh価値)を精算する単価が、上げ調整に対応するV1と下げ調整に対応するV2である。EPRX取引規程ver.18 第18条にもとづき、これらの単価は当該週(土曜から翌週金曜)分を毎週火曜14時までにMMSへ登録し、変更は各30分コマの実需給開始時刻の1時間前まで認められる。単独発電機は運転パターン最大10×出力帯最大20通りで、常に上位帯の単価が下位帯を上回る右肩上がりの単調制約があり、一次調整力だけは登録が要らない。蓄電池は放電がV1で収入、充電がV2で支払いとなり、損失率の補正も入る点が発電所と異なる。本記事は2026年7月1日施行の取引規程ver.18・取引ガイド第10版にもとづく、当社による実務解説である。

V1・V2単価登録とkWh精算の実務|図1

需給調整市場の収入は2階建て — ΔkWとkWhの違い

需給調整市場の収入構造を理解する出発点は、対価が2つの階に分かれていることである。1つは、調整力を確保していること自体への対価で、容量(kW)に対して支払われる。需給調整市場ではこの確保量を「ΔkW(デルタ・キロワット)」と呼び、その単価をΔkW料金(容量に対する対価)という。もう1つが、実際に指令に従って動いた電力量(kWh)への対価であり、これを調整電力量料金、すなわちkWh価値への対価という。

確保しているだけで動かなければ後者は発生せず、逆に大きく動けばその分のkWh価値が積み上がる。需給調整市場に参加する事業者の収支は、この「確保(ΔkW)」と「稼働(kWh)」の2階建てで決まる。V1・V2は、このうち下の階、つまり実際に動いた電力量を精算するための単価である。

ΔkW側の入札ルール(前日完結・最低入札量・上限価格など)については、当社の別記事「三次調整力②の入札はこう動く」で詳しく解説している。本記事は、その確保した調整力が実際に動いたとき、その電力量をいくらで精算するかという、V1・V2単価の登録ルールに焦点を当てる。

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よくある質問

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V1・V2単価登録とkWh精算の実務|図2

確保(ΔkW)と稼働(kWh)を分けて考えることには、実務上の意味がある。ΔkW側は応札・約定のプロセスで価格が決まるのに対し、kWh側のV1・V2単価は、市場運営者が事後に決めるのではなく、事業者があらかじめ出力帯別の段階単価として登録しておく方式を採る。このため、ΔkWの入札とは別に、V1・V2の単価設計という独立した運用業務が週ごとに発生する。

V1とV2の意味 — 上げと下げで別単価

V1とV2は、調整の向きで使い分ける2つの単価である。V1は上げ調整電力量料金で、系統全体の供給が不足する局面で出力を増やす(発電を増やす、蓄電池を放電する)ときに適用される。V2は下げ調整電力量料金で、供給が余る局面で出力を抑える(発電を抑制する、蓄電池を充電する)ときに適用される。どちらも単位は円/kWhで、銭単位まで設定できる。

V1・V2単価登録とkWh精算の実務|図3

蓄電池の場合、この2つの単価は収入と支払いの両面につながる。放電はプラス帯としてV1で精算され、事業者の収入になる。一方、充電はマイナス帯としてV2で精算され、事業者の支払いとなる。発電所であれば出力を上げる・下げるという一方向の動きが中心になるのに対し、蓄電池は「放電(収入)」と「充電(支払い)」の両方を持つ点が構造的に異なる。

さらに蓄電池では、損失率の補正が入る。充放電には変換ロスがあるため、入出力の電力量がそのまま精算量になるわけではなく、この損失を踏まえた補正が精算に反映される。発電所の単価設計と蓄電池の単価設計を同じ枠組みで考えると、この収入・支払いの両面性と損失補正を取りこぼしやすい。蓄電池事業者・アグリゲーターが単価カーブを設計する際は、放電側(V1)と充電側(V2)を分けて、かつ損失率を織り込んで組み立てる必要がある。

登録のタイミング — 毎週火曜14時が締切

V1・V2単価の登録は、週次のサイクルで回る。対象となる週は、土曜から翌週金曜までの7日間である。この当該週分の単価を、毎週火曜14時までにMMS(市場運営システム)へ登録する。火曜14時という締切は、対象週が始まる前のタイミングに置かれており、事業者は週が明ける前に翌週分の単価を確定させておく構造になる。

V1・V2単価登録とkWh精算の実務|図4

登録した単価は、その後まったく変えられないわけではない。変更は各30分コマの実需給開始時刻の1時間前まで認められている。つまり、火曜14時までに一度週全体の単価を登録したうえで、各コマの実需給が近づいてから、直前の状況に応じて1時間前まで微調整できる。この「火曜14時の一括登録」と「実需給1時間前までの個別変更」という二段構えが、運用設計上のポイントになる。

実務では、火曜14時の締切に間に合わせる定例フローを組むことが第一歩になる。当該週の各コマについて、出力帯ごとの段階単価をどう置くかを設計し、MMSへ登録する一連の作業を、毎週の定型業務として固定する。締切を過ぎれば当該週分の登録機会を逃すため、社内の単価設計・レビュー・登録のリードタイムを逆算し、火曜14時に確実に間に合うスケジュールにしておく。そのうえで、実需給1時間前までの変更枠を、直前の系統状況や自社設備の状態に応じた微調整の余地として運用ルールに明記しておくとよい。

単価カーブの作り方 — 右肩上がりが必須

V1・V2の単価は、単一の値ではなく、出力帯別の段階単価として登録する。単独発電機の場合、運転パターンは最大10通り、出力帯は最大20通りまで刻める。つまり1つのリソースについて、運転パターン×出力帯の組み合わせごとに単価を置くことになる。

この段階単価には、守らなければならない制約がある。最低出力の1/2から最大出力までの範囲で、常に上位帯の単価が下位帯の単価を上回る、右肩上がりの単調制約である(最低出力の1/2未満はこの限りでない)。この範囲では出力帯が上がるほど単価も上がっていく形にしなければならず、途中で単価が下がるカーブは登録できない(取引規程ver.18 第18条8項)。

V1・V2単価登録とkWh精算の実務|図5

この右肩上がりの制約は、限界費用の考え方と整合する。一般に、出力を大きく動かすほど、その追加1kWhを賄うための限界的なコストは上がっていく。段階単価を限界費用に沿って設計すれば、自然と上位帯ほど単価が高い右肩上がりのカーブになる。制約はこの経済的な合理性を担保するためのものであり、事業者は限界費用に沿った単価カーブを、右肩上がりの制約を満たす形で設計することになる。

アグリゲーターにとっては、これが週ごとの運用負荷として効いてくる。束ねた各リソースについて、運転パターンと出力帯の刻みを設計し、右肩上がりの制約と出力帯の上限(単独発電機で最大10×20)を満たす単価カーブを、当該週分まとめて登録する。リソースの数が増えるほど設計対象も増えるため、単価設計を効率的に回せる運用体制が、kWh価値を取りこぼさないための実務基盤になる。

蓄電池ならではの扱い — 収入と支払いが両方ある

ここまでに触れたとおり、蓄電池は発電所とは異なる扱いが必要になる。放電はプラス帯としてV1で収入になり、充電はマイナス帯としてV2で支払いになる。同じ1台の蓄電池が、向きによって収入源にも支払い対象にもなるため、単価設計は放電側と充電側を分けて考える。

放電側(V1)では、出力を増やして系統の不足を埋めるときの単価を設計する。ここは収入になる側なので、限界費用に見合う水準で右肩上がりのカーブを置く。充電側(V2)では、出力を抑える(充電して系統の余剰を吸収する)ときの単価を設計する。蓄電池の場合、充電は次の放電の原資にもなるため、放電側との一貫性を持ったカーブにする視点が要る。

V1・V2単価登録とkWh精算の実務|図6

加えて、前述の損失率の補正がある。充放電の変換ロスを踏まえた補正が精算に入るため、入出力の電力量をそのまま単価に掛ければよいわけではない。蓄電池事業者・アグリゲーターは、放電(V1収入)と充電(V2支払い)の両面、そして損失率の補正を踏まえたうえで、当該週分の段階単価を設計する。系統用蓄電池をどの市場でどう動かすかという全体設計については、当社の系統用蓄電池の事業化支援で扱っている。

登録が要らない商品 — 一次調整力は対象外

V1・V2の週次登録は、需給調整市場のすべての商品に一律で課されるわけではない。一次調整力だけは、V1・V2の登録が不要である(取引規程ver.18 第18条)。一次調整力は応動が最も速い商品で、周波数の変動に対してきわめて短時間で自動的に応動する性質を持つ。その特性から、出力帯別の段階単価をあらかじめ登録するという枠組みには馴染まず、登録対象から外れている。

V1・V2単価登録とkWh精算の実務|図7

裏を返せば、一次調整力以外の商品は週次登録が前提になる。二次調整力、三次調整力といった商品で調整力を確保している場合、それぞれについてV1・V2の段階単価を当該週分登録しておかなければ、実際に動いた電力量のkWh価値が正しく精算されない。登録漏れは精算に直接影響するため、複数商品に参加する事業者は、商品ごとに登録要否を切り分けたうえで、登録が必要な商品については火曜14時の締切を取りこぼさない管理が要る。

なお、各商品の応動速度や指令の仕組み、参入に必要な通信回線(専用線か簡易指令システムか)といった要件は商品ごとに異なる。たとえば二次調整力①の専用線要件については、当社の別記事「二次調整力①の専用線要件」で解説している。V1・V2の登録要否は、こうした商品設計の延長線上にある論点として捉えるとわかりやすい。

V1・V2登録ルールの全体像

ここまでの要素を、一枚の表に整理しておく。週次登録の対象・締切・変更可能時点、刻みの上限、単調制約という、運用設計に直結する数値が一覧できる。

項目内容
V1上げ調整電力量料金(蓄電池では放電に対応)
V2下げ調整電力量料金(蓄電池では充電に対応)
単位円/kWh(銭単位で設定)
対象週土曜〜翌週金曜の7日間
登録期限毎週火曜14時まで(MMSへ登録)
変更可能時点各30分コマの実需給開始時刻の1時間前まで
単独発電機の刻み運転パターン最大10×出力帯最大20通り
単価制約最低出力の1/2〜最大出力で上位帯>下位帯(右肩上がりの単調制約。最低出力の1/2未満はこの限りでない)
登録不要の商品一次調整力のみ(取引規程ver.18 第18条)

これらの数値は、EPRX取引規程ver.18 第18条および取引ガイド第10版(調整電力量料金の章)にもとづく。制度・様式は改定されうるため、実際の登録にあたっては必ず最新の一次資料で確認されたい。本記事の内容は、2026年7月1日施行版を前提とした、当社による解説である。

運用業務への落とし込み — 週次フローの設計

V1・V2の登録は、一度設計すれば終わりではなく、毎週繰り返す定例業務である。アグリゲーター・蓄電池事業者にとっては、これを安定して回せる業務フローにできるかどうかが、kWh価値を確実に精算へ結びつけられるかを左右する。

実務上の流れを整理すると、まず当該週(土〜翌週金)について、束ねた各リソースの運転パターンと出力帯を確認し、右肩上がりの制約と刻みの上限を満たす段階単価を設計する。蓄電池であれば放電側(V1)と充電側(V2)を分け、損失率の補正を織り込む。社内レビューを経て、火曜14時の締切までにMMSへ登録する。週が進むなかで系統状況や設備状態に応じて単価を見直す必要が出れば、各30分コマの実需給開始時刻の1時間前までの変更枠で微調整する。

この一連の流れを、社内の役割分担とリードタイムを明確にしたうえで定型化することが、登録漏れや締切超過を防ぐ要になる。とくに複数商品・複数リソースに参加するほど、設計対象は掛け算で増えていく。火曜14時という固定の締切に対して、単価設計から登録完了までに何営業日・何時間を要するかを逆算し、余裕を持ったスケジュールに落とし込んでおく。自社案件でどの市場・商品にどう参加し、どの程度の体制で運用するかの全体設計については、当社のアグリゲーション事業の支援で相談に応じている。

まとめ

需給調整市場のV1・V2単価登録は、確保した調整力が実際に動いたときのkWh価値を精算へ結びつける、週次の定例業務である。火曜14時という固定の締切と、右肩上がりの段階単価という制約、そして蓄電池ならではの収入・支払いの両面性と損失補正を取りこぼさないことが、運用の質を決める。

実務に落とし込むうえでの要点は、次の3点に集約される。

  1. 火曜14時の登録締切から逆算し、当該週分(土〜翌週金)の単価設計・レビュー・MMS登録を毎週の定型フローとして固定する。
  2. 右肩上がりの単調制約と出力帯の上限(単独発電機で最大10×20)を満たす単価カーブを、限界費用に沿って設計する。蓄電池は放電(V1収入)・充電(V2支払い)を分け、損失率の補正を織り込む。
  3. 商品ごとに登録要否を切り分ける。一次調整力は登録不要、それ以外は週次登録が前提であることを前提に、登録漏れを防ぐ管理体制を整える。

需給調整市場のどの商品にどう参加し、どの程度の運用体制でV1・V2の単価設計を回すかの全体設計は、当社のアグリゲーション事業の支援で相談に応じている。自社の蓄電池が需給調整市場でどの程度の収益機会を持つかの概算は、LehmanSoft 収益シミュレーターで試算されたい。

参考文献

  1. EPRX(一般社団法人電力需給調整力取引所) 取引規程 ver.18 第18条(2026年7月1日施行)(https://www.eprx.or.jp/outline/docs/kitei_ver.18_260701.pdf)
  2. EPRX 取引ガイド(全商品)第10版(調整電力量料金の章)(2026年7月1日施行)(https://www.eprx.or.jp/outline/docs/guide_ver.10_260701.pdf)
  3. 資源エネルギー庁 電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会(需給調整市場の制度設計)(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/seido_kento/)
  4. 電力広域的運営推進機関(OCCTO) 需給調整市場(https://www.occto.or.jp/market-board/market/index.html)

本記事は2026年6月24日時点の公開情報に基づき、当社が作成した解説である。制度・様式・単価ルールは予告なく変更される場合があるため、実際の登録・運用にあたっては最新の一次情報(EPRX公表資料)および専門家への相談を推奨する。