この記事の要点
- 需給調整市場の収入は2階建てで、容量(ΔkW)への対価と、実際に動いた電力量(kWh)への対価に分かれる。V1・V2はこの後者、kWh価値の精算単価である。
- V1は上げ調整電力量料金(蓄電池では放電に対応)、V2は下げ調整電力量料金(同・充電に対応)。単位は円/kWhで、銭単位まで設定する。
- 単価は当該週(土曜から翌週金曜)分を、毎週火曜14時までにMMS(市場運営システム)へ登録する。登録後の変更は各30分コマの実需給開始時刻の1時間前まで可能。
- 単独発電機は運転パターン最大10×出力帯最大20通りの刻みで単価を置き、常に上位帯が下位帯を上回る右肩上がりの単調制約に従う。一次調整力だけはV1・V2の登録が不要(取引規程ver.18 第18条)。
- 火曜14時の締切に合わせ、当該週分の段階単価を設計・登録する作業を定例業務に組み込むことが、アグリゲーター・蓄電池事業者の実務上の起点になる。
一文要約
需給調整市場で実際に動いた電力量の対価(kWh価値)を精算する単価が、上げ調整に対応するV1と下げ調整に対応するV2である。EPRX取引規程ver.18 第18条にもとづき、これらの単価は当該週(土曜から翌週金曜)分を毎週火曜14時までにMMSへ登録し、変更は各30分コマの実需給開始時刻の1時間前まで認められる。単独発電機は運転パターン最大10×出力帯最大20通りで、常に上位帯の単価が下位帯を上回る右肩上がりの単調制約があり、一次調整力だけは登録が要らない。蓄電池は放電がV1で収入、充電がV2で支払いとなり、損失率の補正も入る点が発電所と異なる。本記事は2026年7月1日施行の取引規程ver.18・取引ガイド第10版にもとづく、当社による実務解説である。

需給調整市場の収入は2階建て — ΔkWとkWhの違い
需給調整市場の収入構造を理解する出発点は、対価が2つの階に分かれていることである。1つは、調整力を確保していること自体への対価で、容量(kW)に対して支払われる。需給調整市場ではこの確保量を「ΔkW(デルタ・キロワット)」と呼び、その単価をΔkW料金(容量に対する対価)という。もう1つが、実際に指令に従って動いた電力量(kWh)への対価であり、これを調整電力量料金、すなわちkWh価値への対価という。
確保しているだけで動かなければ後者は発生せず、逆に大きく動けばその分のkWh価値が積み上がる。需給調整市場に参加する事業者の収支は、この「確保(ΔkW)」と「稼働(kWh)」の2階建てで決まる。V1・V2は、このうち下の階、つまり実際に動いた電力量を精算するための単価である。
ΔkW側の入札ルール(前日完結・最低入札量・上限価格など)については、当社の別記事「三次調整力②の入札はこう動く」で詳しく解説している。本記事は、その確保した調整力が実際に動いたとき、その電力量をいくらで精算するかという、V1・V2単価の登録ルールに焦点を当てる。





