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  • 需給調整市場の参入前性能確認:書類審査・第三者データ・実働試験の流れ
  • 需給調整市場の上限価格(報価上限):商品区分別のFY2026値と今後の見直し論点
  • 二次調整力①の参入要件 — 専用線オンライン前提と遅れ時間(新設30秒・既設120秒)を蓄電池の視点で読む
  • V1・V2単価登録とkWh精算の実務:毎週火曜14時締切・右肩上がりの段階単価(2026年7月版)
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需給調整市場

需給調整市場のアセスメントとペナルティ:供出可能量・指令追従の評価と未達時の精算を読み解く

Assessment and Penalties in Japan's Balancing Market: Available Capacity, Command-Following, and Settlement for Shortfalls

需給調整市場のアセスメントⅠ(供出可能量)とⅡ(指令追従±10%)、ペナルティ料金の計算、月内回数による新規取引停止、商品別の応動時間・制御方式、インバランスとの関係を制度面から解説。

公開日: 2026/6/24更新日: 2026/6/26

CONTENTS

  1. この記事の要点
  2. 一文要約
  3. なぜ事後評価が必要なのか:容量対価と「実際に出たか」の確認
  4. 商品ごとに評価の前提が違う:応動時間・継続時間・制御方式
  5. アセスメントは2本立て:供出可能量(Ⅰ)と指令追従(Ⅱ)
  6. アセスメントⅠの中身:約定量を割り込むと「未達率」が立つ
  7. アセスメントⅡの中身:±10%の許容帯と通信の欠測
  8. 一次調整力の技術要件:計量間隔・不感帯・遅れ時間という別軸
  9. ペナルティ料金の計算式:Ⅰは未達率比例、Ⅱは定率
  10. 合計したときの最大値:計算上ΔkW料金の1.5倍
  11. kWh価値とインバランスとの関係:もう一つの精算軸
  12. 自社の責任でない未達:所定の様式による申し出と緩和
  13. 月内回数による新規取引停止:ペナルティの先にある措置
  14. 一次調整力はとくに厳しい:異常時1回ルール
  15. 停止の解除:自費の実働試験と運営者の判断
  16. アセスメントⅠ側の規律:是正勧告から除名まで
  • まとめ
  • 参考文献
  • よくある質問
  • この記事の要点

    • 需給調整市場の全5商品は2024年4月から取引が始まり、商品ごとに応動時間が一次≤10秒〜三次②≤60分と大きく異なる。評価の前提となる計量・指令・監視の方式も商品ごとに違う。
    • 事後評価のアセスメントは、約定量どおりの供出可能量を保てているかを見るⅠと、指令量±約定量×10%の許容帯に追従できているかを見るⅡの2本立てで、30分コマごとに評価される。
    • 未達時のペナルティ料金は、Ⅰが「ΔkW料金×未達率×倍率1.5」、Ⅱが「ΔkW料金×倍率1.0」で計算され、両式を足し合わせると計算上ΔkW料金の1.5倍が最大値になる。
    • アセスメントⅡの不適合が1暦月内・同一商品で3回以上(一次調整力は異常時1回以上)に達すると、その商品の新規取引が停止される。
    • 停止の解除には、別冊第24条の実働試験を取引会員の費用負担で再実施し、市場運営者の判断を経る必要がある。

    一文要約

    需給調整市場では、約定したΔkW(調整力)に容量対価としてのΔkW料金が支払われる一方、約束どおりに供出・追従できたかを30分コマごとに事後評価し、不足分はペナルティ料金として差し引かれる。全5商品が取引を開始したのは2024年4月で、一次調整力の応動時間は10秒以下、三次調整力②は60分以内と商品ごとに大きく異なり(出典: 資源エネルギー庁「需給調整市場について」)、評価の前提となる計量・指令・監視の方式もそれぞれ違う。事後評価は供出可能量を見るアセスメントⅠと指令追従を見るⅡに分かれ、ペナルティ料金はⅠ=ΔkW料金×未達率×1.5、Ⅱ=ΔkW料金×1.0の両式で計算され、足し合わせると未達率が最大のとき計算上ΔkW料金の1.5倍が最大値になる(倍率はEPRX取引規程ver.18にもとづくが「1.5倍を上限とする」という明文条項があるわけではない)。さらにアセスメントⅡの不適合が月内3回(一次調整力は1回)に達すると新規取引が停止され、解除には自費の実働試験が必要になる。本記事は2026年7月1日施行の取引規程・取引ガイドにもとづき、当社による解説として評価の仕組みと未達時の精算を制度面から整理する。

    需給調整市場のアセスメントとペナルテ|図1

    なぜ事後評価が必要なのか:容量対価と「実際に出たか」の確認

    需給調整市場は、周波数や需給バランスを保つための調整力(ΔkW)をあらかじめ確保しておく市場である。約定したΔkWには、待機していること自体への対価としてΔkW料金(容量対価)が支払われる。ただし、約束した調整力が実際に系統へ供出され、指令どおりに動いたかは、事前の契約だけでは確かめられない。

    そこで市場運営者は、運用後に「約束どおりだったか」を30分コマごとに振り返る。この事後評価がアセスメントで、不足があった分はペナルティ料金として精算で差し引かれる。容量対価を受け取りながら実際には供出・追従できていなかった、という事態を防ぐための仕組みであり、調整力という商品の信頼性を担保する制度の要にあたる。当社の理解では、ここを軽く見ると、kW価値(容量対価)の取りこぼしと取引資格そのものの喪失という二段構えのリスクに直結する。

    商品ごとに評価の前提が違う:応動時間・継続時間・制御方式

    アセスメントとペナルティを正しく読むには、その手前にある商品設計を押さえておく必要がある。需給調整市場は2024年4月に全5商品の取引が始まった。それ以前は2021年度に三次調整力②、2022年度に三次調整力①が先行して取引を開始しており、段階的に拡大してきた経緯がある(出典: 資源エネルギー庁「需給調整市場について」)。

    5つの商品は、応動の速さと継続時間で性格が分かれる。一次調整力は周波数の即時安定を担うため応動時間が10秒以下と最も速く、継続時間は5分以上とされる。二次調整力①・②は応動時間5分以下・継続時間30分、三次調整力①は応動時間15分以下・継続時間30分、三次調整力②は応動時間60分以内・継続時間30分と、後段の商品ほど応動はゆっくりでよい代わりに持続が求められる(出典: 電力広域的運営推進機関「2024年度以降の商品区分・要件について」)。

    需給調整市場のアセスメントとペナルテ|図2

    制御方式も商品ごとに異なる。一次調整力は中央からの指令を待たず、発電機・蓄電池側が周波数の変化を検知して自律的に出力を変える「自端制御(ガバナフリー的な自律制御)」が前提で、オフラインでの応動になる。これに対し二次調整力①はLFC信号、二次調整力②・三次調整力①・②はEDC信号にもとづくオンライン制御が前提となる。指令の出し方が違えば、計量や監視で確認すべきポイントも変わる。当社の整理では、この「どの信号で、どの速さで動かすか」という前提の違いが、後述するアセスメントⅡの許容帯や通信要件の重みづけに反映されていく。

    需給調整市場への参入要件そのものを詳しく知りたい場合は、需給調整市場に参入するための要件ガイドもあわせて参照されたい。受電点の取り方、容量×電圧×通信の組み合わせ、放充電別の計量といった、評価の土台になる論点を整理している。

    アセスメントは2本立て:供出可能量(Ⅰ)と指令追従(Ⅱ)

    アセスメントは性格の異なる2つの観点に分かれている。一方が崩れても他方は独立して評価されるため、両方を別々に押さえる必要がある。

    • アセスメントⅠ(供出可能量の維持):約定したΔkWの量を、いつでも出せる状態に保てているかを見る。蓄電池でいえば、残量(SOC)が確保され、約定量に見合う供出可能量を維持できているかが問われる。
    • アセスメントⅡ(指令追従の許容範囲):実際に指令が来たとき、指令量に対して定められた許容帯に収まって動けたかを見る。許容帯は「指令量±約定量×10%」と定められている。

    いずれも評価単位は30分コマである。1日のうちある時間帯だけが不適合になることもあり、コマ単位で結果が積み上がっていく。重要なのは、ⅠとⅡが別々の規律につながっていく点である。Ⅰは行政報告を伴う是正勧告の系統、Ⅱは月内回数による新規取引停止の系統と、後段の措置が分かれているため、混同しないようにしたい。

    需給調整市場のアセスメントとペナルテ|図3

    アセスメントⅠの中身:約定量を割り込むと「未達率」が立つ

    アセスメントⅠは、その30分コマで供出可能量が約定量を満たしていたかを見る。供出可能量が約定量を下回ると、その差が「未達率」として数値化される。

    未達率の定義は次のとおりである。

    • 未達率 = (約定量 − 供出可能量)÷ 約定量(下限は0)

    下限が0と定められているため、供出可能量が約定量を上回っていても未達率がマイナスになることはなく、0として扱われる。蓄電池は残量が枯れると供出可能量が約定量を割り込みやすく、この未達率が立ちやすい点に注意がいる。

    なお、供出可能量そのものをどう算定するかは商品の性格に左右される。とくに一次調整力については、供出可能量の考え方が継続的に見直されており、自律制御で出せる量をどう評価するかが論点になってきた(出典: 電力広域的運営推進機関「一次調整力における供出可能量の考え方の見直しについて」)。当社の解説として要点を一言でまとめると、アセスメントⅠは「指令が来る前から、約束した量を出せる状態でいたか」を問う評価であり、指令の有無とは独立して常時成立しうる、ということになる。

    アセスメントⅡの中身:±10%の許容帯と通信の欠測

    アセスメントⅡは、指令に対して実際の応動が許容帯に収まっていたかを見る。許容帯は指令量±約定量×10%である。指令どおりに増減できていれば適合、帯から外れれば不適合となる。

    ここで見落としがちなのが通信である。応動の実際を示す瞬時供出電力が市場運営者側に届かないと、追従できていたかどうかを確認できず、アセスメントⅡの対象になりうる。制御が正しくても、データ送信が欠測すれば評価上は不利に働くため、制御精度と通信の確実性を分けて確保する考え方が要る。

    この点は商品の制御方式と密接に関係する。LFCやEDCといったオンライン信号で動かす商品では、指令を受け取る通信と、応動結果を送り返す通信の双方が成立して初めて評価が回る。二次調整力①の専用線オンライン前提や遅れ時間の要件(新設30秒・既設120秒)については、二次調整力①の参入要件で蓄電池の視点から詳しく整理している。通信の遅れや欠測がアセスメントにどう跳ね返るかを具体的に押さえたい場合の参考になる。

    需給調整市場のアセスメントとペナルテ|図4

    一次調整力の技術要件:計量間隔・不感帯・遅れ時間という別軸

    一次調整力には、ほかの商品にはない技術要件の確認軸がある。自律制御で周波数変化に即応する商品であるため、応動の質を機器レベルで担保する必要があるからである。具体的には、計量間隔・計量誤差・不感帯・設定変化率・遅れ時間といった項目が技術要件として定められている(出典: 電力広域的運営推進機関 需給調整市場関連資料)。

    これらは、アセスメントⅠ・Ⅱのような事後の30分コマ評価とは別の、機器の素性そのものを問う軸である。たとえば不感帯が広すぎれば小さな周波数変化に反応せず、遅れ時間が長ければ10秒以下という応動要件を満たせない。計量間隔が粗ければ、そもそも応動を正しく記録できない。当社の理解では、一次調整力に参入する蓄電池では、この機器レベルの技術要件を満たす設計が「入口」であり、その上で運用段階のアセスメントⅠ・Ⅱをくぐる、という二段構えになる。

    参入前にこれらをどう確認するか――書類審査・第三者データ・実働試験という確認の流れについては、参入前の性能確認で具体的に解説している。実働試験は後述する停止解除の場面でも再登場するため、入口の試験と解除の試験を地続きで理解しておくとよい。

    ペナルティ料金の計算式:Ⅰは未達率比例、Ⅱは定率

    不適合があった場合、ペナルティ料金は次の式で計算される。

    • ペナルティ料金Ⅰ = ΔkW料金 × 未達率 × 倍率1.5
    • ペナルティ料金Ⅱ = ΔkW料金 × 倍率1.0

    Ⅰは未達率に比例するため、約定量に対する供出可能量の不足が大きいほど差し引きも大きくなる。Ⅱは倍率1.0の定率で評価される。倍率1.5と1.0という重み付けの差は、それぞれの不適合をどう扱うかという制度上の設計を反映したものである。

    ここで前提になるΔkW料金(容量対価)の単価は、商品ごとに設定される上限価格(報価上限)の枠内で約定価格が決まる。ペナルティはこの約定したΔkW料金を基準に計算されるため、上限価格の水準を理解しておくと、未達がどの程度のインパクトを持つかを相対的に把握しやすい。商品区分別のFY2026値と今後の見直し論点については、需給調整市場の上限価格を参照されたい。

    需給調整市場のアセスメントとペナルテ|図5

    合計したときの最大値:計算上ΔkW料金の1.5倍

    ⅠとⅡは別々に計算されるが、両式を足し合わせて金額がいくらまで膨らみうるかを考えると、計算上の最大値はΔkW料金の1.5倍になる。これは「1.5倍を上限とする」という明文の上限条項が定められているわけではなく、Ⅰ=ΔkW料金×未達率×1.5・Ⅱ=ΔkW料金×1.0という2本の式から導かれる数式上の最大値である。未達率は(約定量−供出可能量)÷約定量で、供出可能量がゼロまで落ち込んだとき最大となる。その未達率が最大のときⅠ=ΔkW料金×1.5となり、Ⅱ=ΔkW料金×1.0と合計すると最大でΔkW料金の1.5倍に達する、という関係になる。

    この「1.5倍」はあくまでペナルティ料金(精算で差し引かれる金額)の計算上の最大値であり、後述する新規取引停止のような措置とは別の話である。金額面の精算と、取引資格そのものに関わる措置は、分けて理解しておく必要がある。

    kWh価値とインバランスとの関係:もう一つの精算軸

    ここまではΔkW(容量対価)に対するアセスメントとペナルティの話である。需給調整市場には、これとは別に実際に動いた電力量(kWh)に対する精算がある。指令に応じて充放電したkWhには、別途登録した単価にもとづくkWh精算が発生する。このV1・V2単価登録とkWh精算の実務(毎週火曜14時締切・段階単価)については、V1・V2単価登録とkWh精算で整理している。アセスメント(ΔkWの未達精算)とkWh精算は別の枠組みであり、混同しないことが実務上の出発点になる。

    さらにその外側に、系統全体の需給差を埋め合わせるインバランス料金がある。インバランス料金は調整力の限界的なkWh価格を参照して決まる構造で、需給ひっ迫時には追加供給を引き出すために「需給ひっ迫時補正インバランス料金」が上乗せされる。この補正の単価は、2026年度から当面の間、C値が300円/kWh、D値が50円/kWhに見直されている(出典: 電力・ガス取引監視等委員会「インバランス料金制度の詳細設計等について」)。

    需給調整市場のアセスメントとペナルテ|図6

    調整力の確保(需給調整市場)と、確保しきれなかった差分の精算(インバランス)は、需給を一致させるための同じ目的の表裏である。当社の理解では、需給調整市場のアセスメントで未達を出すことと、自社のインバランスを抱えることは、いずれも「約束した量を出せなかった」という同根の事象であり、SOC計画や通信の確実性といった対策の多くが両方に効く。需給と価格の全体動向、インバランス料金の上限見直しの行方については、需給と価格の見通し2026もあわせて参照されたい。

    自社の責任でない未達:所定の様式による申し出と緩和

    未達のすべてが事業者の運用責任に帰されるわけではない。系統側の事情や地内の混雑など、事業者がコントロールできない要因による未達については、緩和の余地がある。

    こうした未達は所定の様式による申し出の対象とされ、一般送配電事業者の判定を経て、倍率が1.0化されたり対象外とされたりしうる。ただし、これは自動的に緩和されるものではない。申し出の手続を踏み、判定を受けて初めて反映される点が重要で、緩和を受けるには平時から証跡(記録)を整え、申請の手続を準備しておく必要がある。当社の実務的な見方として、ここで効くのは「いつ・どの指令に対し・どう応動し・どの通信が欠測したか」を時刻つきで残す運用設計であり、事後に申し出るための材料は事象が起きた瞬間にしか取れない。

    月内回数による新規取引停止:ペナルティの先にある措置

    ペナルティ料金は金額の精算だが、不適合が繰り返されると取引そのものを止める措置に進む。これがアセスメントⅡの月内回数による新規取引停止である。

    アセスメントⅡの不適合が1暦月内・同一商品で3回以上に達すると、その商品の新規取引が停止される。カウントは「1暦月・同一商品・同一の単独発電機またはリスト」の単位で行われる。停止は不適合が出た当該商品の新規取引に及び、停止中は新たな約定ができない。金額のペナルティが「取れるはずだったkW価値の目減り」だとすれば、こちらは「そもそも約定できなくなる」措置であり、収入機会そのものを断つ点で重い。

    需給調整市場のアセスメントとペナルテ|図7

    一次調整力はとくに厳しい:異常時1回ルール

    商品によって停止のトリガーは異なる。応動の速さが周波数の即時安定に直結する一次調整力では、異常時の不適合が1回以上で停止対象になりうるとされ、一般の3回ルールよりも基準が厳しい。

    一次調整力に参入する事業者にとっては、この1回ルールが参入リスクの核になる。1回の不適合が停止につながりうる以上、制御と通信の冗長性を高め、欠測や帯からの逸脱を起こさない設計が前提となる。前述の計量間隔・不感帯・遅れ時間といった機器レベルの技術要件を確実に満たすことが、結果的にこの1回ルールに耐える土台になる。

    停止の解除:自費の実働試験と運営者の判断

    新規取引が停止された場合、自動的に再開されるわけではない。解除には、別冊第24条に定める実働試験を再び実施し、性能を確認し直す必要がある。

    この実働試験の費用は取引会員が負担する。試験を経たうえで市場運営者の判断により解除されるため、停止から再開までには相応の時間と費用がかかる。停止に至らないよう月内の回数を見張ることが、結果的に最も合理的なリスク管理になる。当社の整理では、参入時の性能確認と停止解除の実働試験は同じ性格の手続であり、入口で一度通っていても、停止すれば再び同じ試験を自費でくぐり直すことになる、という点を押さえておきたい。

    アセスメントⅠ側の規律:是正勧告から除名まで

    アセスメントⅠの不適合は、Ⅱとは別系統の規律につながる。Ⅰの不適合は是正勧告の対象とされ、資源エネルギー庁・電力ガス取引監視等委員会・OCCTOへの報告を伴う。

    改善がない場合や、故意・重過失があった場合には、取引停止や除名に至りうる。とくに、束ねたリソースの応動実績データを改ざんするような行為は除名のリスクがあるとされる。アセスメントⅡが回数による新規取引停止という形で規律されるのに対し、Ⅰは行政報告を伴う是正勧告という形で規律される、という違いを押さえておくとよい。

    分散した蓄電池を束ねて需給調整市場に参入する事業全体の組み立て――リソースの集約、計量・通信の確保、アセスメント対応――については、当社の分散型蓄電池アグリゲーション事業のページで考え方を紹介している。投資・設置の検討段階では、容量や条件を入力して試算できる当社シミュレーターも用意している。

    まとめ

    需給調整市場の収入の確実性は、約定したΔkWを事後評価でどれだけ守れるかにかかっている。商品ごとに応動時間・制御方式・計量の前提が異なることを踏まえたうえで、制度を理解し、次の3点に取り組むことが出発点になる。

    1. 供出可能量に余裕を持たせる。 残量(SOC)計画は、約定量を割り込まないことを第一条件にして組み、アセスメントⅠの未達率が立たない状態を保つ。
    2. ±10%の追従精度と欠測のない通信を分けて確保する。 制御が正しくても瞬時供出電力が届かなければアセスメントⅡの対象になりうるため、制御と通信を別々の冗長化対象として扱う。一次調整力では計量間隔・不感帯・遅れ時間といった機器レベルの技術要件も満たす。
    3. 回数と緩和手続を平時から管理する。 商品ごと・月内のアセスメントⅡ不適合回数を見張り、3回(一次調整力は1回)に達する前に運用を切り替える。あわせて系統起因の緩和に備え、所定の様式による申請手続と証跡をそろえておく。

    アセスメント対応を織り込んだ運用体制で蓄電池がどの程度の収益機会を持つかは、当社シミュレーターで条件を入れて試算されたい。アセスメント・ペナルティを抑える運用設計を含めた具体的な事業組成の相談は、分散型蓄電池アグリゲーションの業務ページからお問い合わせいただきたい。

    参考文献

    1. 一般社団法人電力需給調整力取引所(EPRX)「取引規程 ver.18」第39条・第40条・第41条(2026年7月1日施行). https://www.eprx.or.jp/outline/docs/kitei_ver.18_260701.pdf
    2. 一般社団法人電力需給調整力取引所(EPRX)「取引ガイド(全商品)第10版」§2-9・§2-10(2026年7月1日施行). https://www.eprx.or.jp/outline/docs/guide_ver.10_260701.pdf
    3. 資源エネルギー庁「需給調整市場について」(電力・ガス基本政策小委員会/次世代電力基盤ワーキンググループ提出資料). https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/seido_kento/pdf/091_04_00.pdf
    4. 電力広域的運営推進機関(OCCTO)「2024年度以降の商品区分・要件について」(要件変更資料). https://www.occto.or.jp/assets/iinkai/chouseiryoku/files/youkenhenkou_20240327.pdf
    5. 電力広域的運営推進機関(OCCTO)「一次調整力における供出可能量の考え方の見直しについて」(第49回需給調整市場検討小委員会 資料2). https://www.occto.or.jp/assets/iinkai/chouseiryoku/jukyuchousei/2024/files/jukyu_shijyo_49_02.pdf
    6. 電力広域的運営推進機関(OCCTO)「需給調整市場」(需給調整市場検討小委員会). https://www.occto.or.jp/iinkai/jukyuchousei/index.html
    7. 電力・ガス取引監視等委員会(経済産業省)「インバランス料金制度の詳細設計等について」(制度設計・監視専門会合 提出資料). https://www.egc.meti.go.jp/activity/emsc_systemsurveillance/pdf/010_03_01.pdf

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  • 本記事は2026年6月25日時点の公開情報にもとづき、当社が作成した解説である。数値・要件は制度改定により変わりうるため、最新の内容はEPRXおよび関係機関の公式資料で確認いただきたい。