LehmanSoft Japan

ELECTRICITY MARKET KNOWLEDGE BASE

ホームトピック一覧制度デスクダッシュボードお問い合わせEnglish
LehmanSoft Japan

蓄電池アグリゲーター。JEPX・EPRX・容量市場に参加し、運用代行と市場参入コンサルティングを提供しています。

お問い合わせ→

TOPICS

  • 高度化法の非化石44%目標と第3フェーズ|証書調達と蓄電池
  • 需給調整市場の参入前性能確認:書類審査・第三者データ・実働試験の流れ
  • 需給調整市場の上限価格(報価上限):商品区分別のFY2026値と今後の見直し論点
  • 二次調整力①の参入要件 — 専用線オンライン前提と遅れ時間(新設30秒・既設120秒)を蓄電池の視点で読む
  • V1・V2単価登録とkWh精算の実務:毎週火曜14時締切・右肩上がりの段階単価(2026年7月版)
  • 容量拠出金の実務(2026年度):小売の支払スケジュールと経過措置控除

CATEGORIES

  • 基礎知識
  • 市場・取引所
  • エネルギー政策
  • アグリゲーション実務
  • すべてのトピック →

DATA

  • ダッシュボード
  • JEPX 現物
  • 9 エリア需要実績
  • インバランス料金

© 2026 LehmanSoft Japan株式会社. 本サイトの情報は教育目的で提供されており、投資助言ではありません。

Japan Electricity Market Knowledge Base

  1. ホーム
  2. ›トピック一覧
  3. ›二次調整力①の参入要件 — 専用線オンライン前提と遅れ時間(新設30秒・既設120秒)を蓄電池の視点で読む
アグリゲーション実務

二次調整力①の参入要件 — 専用線オンライン前提と遅れ時間(新設30秒・既設120秒)を蓄電池の視点で読む

Secondary Reserve 1 Entry Requirements: Dedicated-Line Online Premise and Response Delay (Battery Perspective, 2026)

二次調整力①は専用線オンライン接続が前提で、簡易指令システムでは参入できない。遅れ時間の上限は既設120秒・新設30秒(2023年4月以降の系統連系申込が新設扱い)。応動は5分以内・継続30分以上。蓄電池の通信・工事ハードルと三次②との違いを、EPRX取引規程ver.18・取引ガイド第10版(202

公開日: 2026/6/25更新日: 2026/6/25

CONTENTS

  1. この記事の要点
  2. 一文要約
  3. 二次調整力①とは — 需給調整市場5商品の中での位置づけ
  4. 簡易指令システムでは出せない — 通信方式という最初の壁
  5. 遅れ時間の要件 — 新設30秒・既設120秒という線引き
  6. 応動と継続の性能 — 5分で立ち上げ30分以上保つ
  7. 蓄電池が参入する際の通信・工事ハードル
  8. 三次調整力②との違い — どこで分かれるのか
  9. 専用線投資をいつ判断するか — 段階的参入という考え方
  10. 実務でまず確認すべきこと
  11. まとめ
  12. 参考文献
  13. よくある質問

この記事の要点

  • 二次調整力①は専用線オンライン接続が前提で、事後監視方式の簡易指令システムでは参入できない(EPRX取引規程ver.18・取引ガイド第10版、2026/7/1施行)。
  • 指令を受けてから動き出すまでの遅れ時間の上限は、既設で120秒以内、新設で30秒以内(取引規程第13条ほか)。
  • 「新設」とは2023年4月以降に系統連系を申し込んだ設備、およびリプレース(更新)を指す。それ以前の系統連系設備は「既設」として120秒が適用される。
  • 応動は遅れ時間込みで5分以内、継続は30分以上、指令間隔は0.5秒から数十秒という低遅延が求められる。
  • 蓄電池が需給調整市場へ入る順序としては、簡易指令で出せる三次調整力②から始め、専用線投資を伴う二次①は次の段階と整理するのが現実的になりやすい。

一文要約

二次調整力①は、指令を受けてから動き出すまでの遅れ時間を含めて5分以内に立ち上げ、30分以上保つことを求める応動の速い中位商品である。この速さを担保するため、EPRX取引規程ver.18・取引ガイド第10版(2026年7月1日施行)では専用線によるオンライン接続が前提とされ、事後監視のオフライン方式である簡易指令システムでは参入できない。遅れ時間の上限は、取引規程第13条ほかにより既設で120秒以内、新設で30秒以内と定められ、2023年4月以降に系統連系を申し込んだ設備やリプレースは新設扱いとなる。蓄電池にとっては、専用線の敷設という固定的な初期投資が三次調整力②より重く乗るため、まず簡易指令で出せる三次②から入り、需要が固まってから二次①の専用線投資を判断する道が選択肢になる。本記事は当社による解説である。

二次調整力①とは — 需給調整市場5商品の中での位置づけ

需給調整市場は、刻々と変動する需要と供給のずれを調整するための「調整力」を、一般送配電事業者が市場を通じて調達する仕組みである。取引される商品は応動の速さで段階的に並んでおり、もっとも速い順に一次調整力、二次調整力①、二次調整力②、三次調整力①、三次調整力②の5つで構成される。EPRX(一般社団法人電力需給調整力取引所)が取引ガイドと取引規程でそれぞれの要件を定めており、2026年7月1日からは取引ガイド第10版・取引規程ver.18が効力を持つ。

二次調整力①は、この5商品のなかで一次調整力に次いで速い、いわば中位より上の商品にあたる。系統周波数のずれに対し、負荷周波数制御(LFC)の信号に追従して出力を細かく調整する役割を担う。指令を受けてから動き出すまでの遅れ時間を含めて5分以内に応動し、その状態を30分以上継続することが求められる。応動が速く継続も長いという二重の要求があるため、調整力としての価値は高い一方で、設備側・通信側に課される性能要件もそのぶん厳しくなる。

蓄電池という資源は、出力の立ち上がりが火力などより速いという物理的な強みを持つ。出力ゼロから定格までを数百ミリ秒から数秒で到達できるPCS(パワーコンディショナ)も珍しくない。したがって「応動5分以内」という時間軸そのものは、新設のPCSであれば技術的には満たしうる。問題になるのはむしろ、その速さを系統運用者へ証明し、指令を低遅延で受け取るための通信の作り込みであり、ここに二次①固有の参入ハードルが集中している。

二次調整力①の参入要件 — 専用線オ|図1

系統用蓄電池の運用代行・収益最大化をご検討ですか?

埼玉2MW/8MWhの自社蓄電所を運用するアグリゲーターが、需給調整・JEPX・容量の3市場でマルチユース運用を代行します。まずは無料相談・収益シミュレーションから。

運用代行を無料相談する →収益シミュレーターで試算する
二次調整力 参入要件二次調整力① 専用線需給調整市場 蓄電池 費用簡易指令システム 違い遅れ時間 30秒 120秒三次調整力② 比較

よくある質問

関連トピック

アグリゲーション実務

需給調整市場の参入前性能確認:書類審査・第三者データ・実働試験の流れ

Pre-entry Performance Check for Japan's Balancing Market: Document Review, Third-party Data, and Live Operation Test

需給調整市場への参入前に課される性能確認の実務を解説。書類審査(第21条・原則3ヶ月以内)から不適合なら実働試験(第24条)へ進む2段階、提出データは第三者作成・認証が必須で自家計測は不可、供出可能量の30〜70%で行う実働試験、上位適合で下位を省ける免試まで、蓄電池・アグリゲーターの準備実務を一次

詳しく読む →
アグリゲーション実務

V1・V2単価登録とkWh精算の実務:毎週火曜14時締切・右肩上がりの段階単価(2026年7月版)

V1/V2 Unit-Price Registration and kWh Settlement in Japan's Balancing Market — Weekly Tuesday 14:00 Deadline and Monotonic Step Pricing (July 2026)

需給調整市場のkWh価値精算に使うV1(上げ・放電)/V2(下げ・充電)単価は、土〜翌週金分を毎週火曜14時までにMMSへ登録する。単独発電機は運転パターン最大10×出力帯最大20で右肩上がりの段階単価が必須、一次調整力だけは登録不要。EPRX取引規程ver.18第18条にもとづき、週次登録と段階単

詳しく読む →
アグリゲーション実務

EV充放電のDRready化とは — 経済産業省勉強会の論点と将来の機器要件をアグリゲーター視点で読む

DRready Requirements for EV Chargers and Bidirectional Chargers: METI Study Group Issues and Future Device Requirements from an Aggregator's View

経済産業省のDRready勉強会で検討が続くEV充電器・充放電器のDRready化を、当社がアグリゲーター視点で整理。要件の3要素(通信接続・外部制御・セキュリティ)、第7回(2025/11/25)と国内現状資料(2026/3/19)、コンセント型・V2Hの機器現状、JC-STARの位置づけ、海外の

詳しく読む →
← トピック一覧に戻る

簡易指令システムでは出せない — 通信方式という最初の壁

需給調整市場に蓄電池やデマンドレスポンスといった分散リソースが入る際、通信の選択肢は大きく二つに分かれる。ひとつは専用線によるオンライン接続で、もうひとつが簡易指令システムである。簡易指令システムは、インターネット回線などを介して比較的安価に接続できる方式で、応動の実績を事後に確認するオフラインの監視を基本とする。設備ごとに専用回線を敷く必要がないため、分散した小規模リソースを束ねて市場へ出す際の入口を大きく広げてきた。

二次調整力①は、この簡易指令システムでは参入できない。理由は応動の速さにある。二次①では指令間隔が0.5秒から数十秒という低遅延でやり取りされることが前提となっており、LFC信号に追従して秒単位で出力を動かす制御が要求される。指令を逐次受け取り、そのとおりに即座に応動し、その結果を遅滞なく返すという往復を成立させるには、事後確認を前提とした簡易指令システムでは要件を満たせない。そのため二次①は、専用線によるオンライン接続を前提とする設計が、2026年7月1日施行の取引ガイド第10版・取引規程ver.18でも引き継がれている。

これは単なる通信品質の好みではなく、商品設計上の必須要件である。つまり、すでに簡易指令システムで束ねているリソースを、そのまま二次①の供出に充てることはできない。アグリゲーターの視点で言えば、簡易指令で運用しているポートフォリオと、専用線で二次①へ出すリソースは、通信方式の段階で切り分けて設計する必要がある。

二次調整力①の参入要件 — 専用線オ|図2

ここで一次調整力との対比を押さえておくと、二次①の位置づけがより鮮明になる。一次調整力は、系統周波数の変化を蓄電池が自分で測って自律的に応動する自端制御の商品である。都度の指令受信を前提としないため、応動の実績を後から確認するオフライン監視枠が成立し、専用線を引かずに参入できる区分が用意されている。同じく速い応動を求められる商品でありながら、一次は専用線が不要、二次①は専用線が必須という違いが生じるのは、指令を「受けて動く」のか「自分で測って動く」のかという制御の性質の差に由来する。一次調整力の参入区分については、当社の関連記事「一次調整力は専用線なしで参入できる — 蓄電池の容量と電圧で決まるオフライン枠の入り方」で詳しく整理している。

遅れ時間の要件 — 新設30秒・既設120秒という線引き

二次調整力①の参入可否を実務上もっとも左右するのが、遅れ時間の要件である。ここでいう遅れ時間とは、一般送配電事業者からの指令を受信してから、設備が実際に応動を開始するまでの時間を指す。取引規程ver.18の第13条ほかにより、この遅れ時間の上限は設備の区分に応じて二段階で定められている。既設の設備は120秒以内、新設の設備は30秒以内である。

二次調整力①の参入要件 — 専用線オ|図3

この「新設」と「既設」の線引きが重要である。新設に該当するのは、2023年4月以降に系統連系を申し込んだ設備、およびリプレース(既存設備の更新)である。逆に言えば、2023年3月以前に系統連系を申し込んだ設備は既設として扱われ、適用される遅れ時間の上限は120秒となる。新設に対してより厳しい30秒が課されるのは、新しく系統につなぐ設備には、より高い応動性能を求めるという制度的な意図がある。

蓄電池事業者にとって、この区分は自社設備がどちらに当たるかで設計の前提が変わることを意味する。新設のPCSであれば、出力の立ち上がりの速さからして30秒の遅れ時間は満たしうる水準である。問題は、その30秒のなかに通信経路の遅延や指令解釈の処理時間も含まれる点である。指令を受信し、制御装置がそれを解釈し、PCSへ指令値を渡し、実際に出力が動き出すまでの一連の流れすべてが、新設なら30秒以内に収まっていなければならない。応動そのものの速さだけでなく、指令を受け取ってから動くまでの通信・制御チェーン全体を30秒に収める設計が要求されるわけである。

実務では、自社設備が既設か新設かを判定する起点を「2023年4月の系統連系申込日」に置き、適用される遅れ時間が120秒か30秒かをまず確かめるところから始めるのが堅実である。リプレースを計画している場合は、更新後は新設扱いとなり30秒の要件が適用される点にも留意したい。

応動と継続の性能 — 5分で立ち上げ30分以上保つ

遅れ時間とあわせて押さえるべきが、応動時間と継続時間である。二次調整力①では、応動は遅れ時間込みで5分以内とされる。つまり前節で述べた遅れ時間(新設30秒・既設120秒)は、この5分という応動時間の内側に含まれる時間である。指令を受けてから出力の立ち上がりが完了するまでを、遅れ時間も含めて5分のうちに収めなければならない。

継続時間は30分以上である。一度立ち上げた調整出力を、最低でも30分は維持できることが求められる。蓄電池の場合、これは残量(SOC)の管理に直結する。定格に近い出力で30分以上の供出を続けるには、それに見合った容量と、供出中に枯渇しないSOC計画が前提となる。応動が速いだけでなく、立ち上げた状態を保つスタミナの両方を要求されるのが二次①の特徴である。

加えて、指令は0.5秒から数十秒という間隔でやり取りされる。LFC信号に秒単位で追従して出力を上下させる制御が、継続時間のあいだ途切れずに動き続ける必要がある。応動の速さ・継続の長さ・指令の低遅延という三つの要求を同時に満たす制御と通信の設計が、二次①参入の技術的な核心になる。

これらの数値は、いずれもEPRX取引規程ver.18第13条ほかおよび取引ガイド第10版にもとづく確定した要件である。値は年度や規程改定で変わりうるため、入札を具体的に検討する段階では、必ずEPRX公式の最新版で確認することを勧める。

蓄電池が参入する際の通信・工事ハードル

ここまでの要件を蓄電池事業者の費用の観点で整理すると、二次調整力①の参入ハードルは「専用線オンライン回線の敷設と維持」という固定的なコストに集約される。簡易指令システムが比較的安価なインターネット接続で済むのに対し、二次①では一般送配電事業者の指令配信と整合した専用線によるオンライン接続を用意しなければならない。この回線の敷設費と継続的な維持費が、初期投資と運用コストの両方に固定的に乗ってくる。

二次調整力①の参入要件 — 専用線オ|図4

通信側の作り込みも軽くない。指令間隔0.5秒から数十秒という低遅延での双方向通信を成立させ、その通信経路を含めて新設なら30秒以内・既設なら120秒以内の遅れ時間に収める必要がある。さらに一般送配電事業者の側でも、オンライン接続と指令配信を担う立場として通信仕様を整合させておく必要があり、事業者間で仕様を擦り合わせる工程が発生する。これは簡易指令での参入には基本的に存在しない調整工程である。

設備側では、応動5分・継続30分・低遅延制御という性能を満たすPCSと制御装置の仕様確認が求められる。新設のPCSであれば応動性能そのものは満たしやすいが、既設設備を二次①向けに転用する場合は、120秒の遅れ時間に収まるか、LFC追従の制御が可能かを機器の仕様書で確認する作業が必要になる。蓄電池の系統連系や設備要件の全体像については、当社の関連記事「系統用蓄電池の市場参入ガイド」もあわせて参照されたい。

これらを総合すると、二次①は応動性能という物理的な要件よりも、専用線という通信インフラの初期投資と、一般送配電事業者との仕様整合という運用面の準備が、参入の実質的な壁になりやすい。蓄電池の電気的な速さは強みだが、その速さを市場へ届けるための通信の作り込みにコストと時間がかかる、というのが二次①の構図である。

三次調整力②との違い — どこで分かれるのか

蓄電池が需給調整市場で最初に狙いやすい商品として広く知られているのが、三次調整力②である。二次①との違いを並べると、どこで参入のしやすさが分かれるのかが見えてくる。

二次調整力①の参入要件 — 専用線オ|図5

最大の違いは通信方式である。三次②は簡易指令システムで参入できる。応動条件がもっともゆるい商品で、指令を受けてから立ち上げるまでの時間に余裕があり、事後監視のオフライン方式でも要件を満たせるためである。これに対し二次①は、すでに述べたとおり専用線オンライン接続が必須で、簡易指令では出せない。この一点だけでも、初期投資の重さが大きく変わる。専用線の敷設費・維持費が要る二次①に対し、三次②は比較的安価な簡易指令接続で入口に立てる。

応動の速さも対照的である。三次②は応動条件がゆるい代わりに、二次①は遅れ時間込み5分以内という速い立ち上がりを要求する。蓄電池の残量計画の立てやすさという点でも、ゆるい応動の三次②のほうが無理なく出しやすい。三次②の入札の流れや最低入札量といった具体的な実務は、当社の関連記事「三次調整力②の入札はこう動く」で解説している。

ここから導かれる現実的な参入の順序が、「まず三次②から、二次①は次の段階」という整理である。簡易指令で出せる三次②でまず市場参加の実績と運用体制を固め、需要や収益の見通しが固まった段階で、専用線投資を伴う二次①への拡張を費用対効果で判断する。簡易指令で束ねたリソースはそのまま二次①へは充てられないため、二次①へ進む際は専用線を前提としたリソースを別に切り分けて準備することになる。需給調整市場全体の商品構成や蓄電池の参入要件は、当社の需給調整・アグリゲーション業務ページでも整理している。

専用線投資をいつ判断するか — 段階的参入という考え方

二次調整力①への参入を検討する際の判断の軸は、専用線オンライン回線という固定費を、いつ・どの規模で負担するかにある。この回線コストは応動の有無にかかわらず敷設した時点から固定的に発生するため、二次①での供出量や稼働がそれに見合うかどうかが、投資判断の本質的な論点になる。

段階的参入の考え方は、この固定費の負担時期を後ろ倒しにする発想である。最初から二次①の専用線に投資するのではなく、まず簡易指令で出せる三次②で市場に参加する。三次②で運用のノウハウと実績を積み、リソースの稼働状況や調整力としての需要が見えてきた段階で、専用線投資を伴う二次①への拡張を改めて検討する。こうすることで、需要が不確実な初期段階で専用線という固定費を抱え込むリスクを避けつつ、市場参加そのものは早く始められる。

費用計画の組み方としては、二次①を狙うのであれば専用線オンライン回線の敷設費・維持費を計画の最初に明示的に織り込むことが重要である。これを後から追加する変動費のように扱うと、収支の見立てが甘くなりやすい。あわせて、自社設備が既設(120秒)か新設(30秒)かを系統連系申込日で先に判定し、適用される遅れ時間の前提を固めておく。リソースを束ねて運用している場合は、簡易指令分と専用線分を商品ごとに切り分けて管理する運用設計も必要になる。

収益の試算については、案件ごとの設備構成・稼働・運用主体によって大きく異なるため、一律の数値で語ることは適切でない。自社案件で需給調整市場への参加がどの程度の価値を生みうるかは、LehmanSoft収益シミュレーターで前提を入れて試算することを勧める。

実務でまず確認すべきこと

二次調整力①を検討段階のチェックポイントとして整理すると、次の順序で確かめていくのが実務的である。

第一に、自社設備が既設か新設かを2023年4月の系統連系申込日で判定する。これにより適用される遅れ時間が120秒か30秒かが決まり、設備側に求められる応動・通信性能の前提が固まる。リプレースを予定している場合は更新後が新設扱いとなる点も確認する。

第二に、専用線オンライン回線の敷設費と維持費を費用計画の最初に組み込む。二次①は簡易指令では出せないため、この回線コストは参入の前提条件であり、後付けの変動費ではない。一般送配電事業者との通信仕様の整合に要する期間も、立ち上げスケジュールに見込んでおく。

第三に、簡易指令で束ねているリソースは二次①に充てられないことを前提に、参入リソースを商品ごとに切り分ける。簡易指令ポートフォリオと専用線ポートフォリオを混同しない設計が、後の運用トラブルを避ける。

第四に、まず三次②(簡易指令可)から入り、需要が固まってから二次①の専用線投資を判断する段階的な道を、有力な選択肢として検討する。最初から二次①の固定費を抱えるよりも、市場参加のリスクを抑えながら実績を積める。

いずれの数値・要件も、EPRX取引規程ver.18第13条ほか・取引ガイド第10版(2026年7月1日施行)にもとづく確定した内容である。ただし規程は改定されうるため、入札を具体化する段階では必ずEPRX公式の最新版で確認する。

まとめ

二次調整力①は、需給調整市場のなかで一次に次いで速い応動を求める中位より上の商品であり、その速さを担保するために専用線オンライン接続を前提とする。簡易指令システムでは参入できず、遅れ時間は新設30秒・既設120秒、応動は5分以内・継続30分以上という要件が、EPRX取引規程ver.18・取引ガイド第10版(2026年7月1日施行)で確定している。蓄電池にとっては、電気的な応動の速さは強みである一方、専用線という通信インフラの初期投資と一般送配電事業者との仕様整合が実質的な参入の壁になる。

二次①への参入を検討するうえで、次の3点を実務の起点としたい。

  1. 自社設備が既設(120秒)か新設(30秒)かを、2023年4月の系統連系申込日で先に判定する。
  2. 専用線オンライン回線の敷設費・維持費を費用計画の最初に明示的に組み込み、簡易指令分とリソースを切り分けて設計する。
  3. まず三次調整力②(簡易指令可)から市場参加を始め、需要が固まってから二次①の専用線投資を費用対効果で判断する段階的な道を検討する。

次のステップとして、自社案件で需給調整市場への参加がどの程度の価値を生みうるかを、LehmanSoft収益シミュレーターで前提を入れて試算されたい。具体的な事業組成や参入順序の相談は、LehmanSoftのアグリゲーション業務ページからお問い合わせいただきたい。

参考文献

  1. EPRX(一般社団法人電力需給調整力取引所)取引規程 ver.18 第13条ほか(2026年7月1日施行)(https://www.eprx.or.jp/outline/docs/kitei_ver.18_260701.pdf)
  2. EPRX 取引ガイド(全商品)第10版 §1-2・§2-2(2026年7月1日施行)(https://www.eprx.or.jp/outline/docs/guide_ver.10_260701.pdf)
  3. EPRX 揚水・蓄電池ガイド第3版(一次調整力 参入要件)(https://www.eprx.or.jp/outline/docs/yousuichikudenchi_guide_260314.pdf)

本記事は2026年6月24日時点の公開情報にもとづき当社が作成した解説である。制度・価格・要件は予告なく変更される場合があるため、実投資判断にあたっては最新の一次情報および専門家への相談を推奨する。