この記事の要点
- 二次調整力①は専用線オンライン接続が前提で、事後監視方式の簡易指令システムでは参入できない(EPRX取引規程ver.18・取引ガイド第10版、2026/7/1施行)。
- 指令を受けてから動き出すまでの遅れ時間の上限は、既設で120秒以内、新設で30秒以内(取引規程第13条ほか)。
- 「新設」とは2023年4月以降に系統連系を申し込んだ設備、およびリプレース(更新)を指す。それ以前の系統連系設備は「既設」として120秒が適用される。
- 応動は遅れ時間込みで5分以内、継続は30分以上、指令間隔は0.5秒から数十秒という低遅延が求められる。
- 蓄電池が需給調整市場へ入る順序としては、簡易指令で出せる三次調整力②から始め、専用線投資を伴う二次①は次の段階と整理するのが現実的になりやすい。
一文要約
二次調整力①は、指令を受けてから動き出すまでの遅れ時間を含めて5分以内に立ち上げ、30分以上保つことを求める応動の速い中位商品である。この速さを担保するため、EPRX取引規程ver.18・取引ガイド第10版(2026年7月1日施行)では専用線によるオンライン接続が前提とされ、事後監視のオフライン方式である簡易指令システムでは参入できない。遅れ時間の上限は、取引規程第13条ほかにより既設で120秒以内、新設で30秒以内と定められ、2023年4月以降に系統連系を申し込んだ設備やリプレースは新設扱いとなる。蓄電池にとっては、専用線の敷設という固定的な初期投資が三次調整力②より重く乗るため、まず簡易指令で出せる三次②から入り、需要が固まってから二次①の専用線投資を判断する道が選択肢になる。本記事は当社による解説である。
二次調整力①とは — 需給調整市場5商品の中での位置づけ
需給調整市場は、刻々と変動する需要と供給のずれを調整するための「調整力」を、一般送配電事業者が市場を通じて調達する仕組みである。取引される商品は応動の速さで段階的に並んでおり、もっとも速い順に一次調整力、二次調整力①、二次調整力②、三次調整力①、三次調整力②の5つで構成される。EPRX(一般社団法人電力需給調整力取引所)が取引ガイドと取引規程でそれぞれの要件を定めており、2026年7月1日からは取引ガイド第10版・取引規程ver.18が効力を持つ。
二次調整力①は、この5商品のなかで一次調整力に次いで速い、いわば中位より上の商品にあたる。系統周波数のずれに対し、負荷周波数制御(LFC)の信号に追従して出力を細かく調整する役割を担う。指令を受けてから動き出すまでの遅れ時間を含めて5分以内に応動し、その状態を30分以上継続することが求められる。応動が速く継続も長いという二重の要求があるため、調整力としての価値は高い一方で、設備側・通信側に課される性能要件もそのぶん厳しくなる。
蓄電池という資源は、出力の立ち上がりが火力などより速いという物理的な強みを持つ。出力ゼロから定格までを数百ミリ秒から数秒で到達できるPCS(パワーコンディショナ)も珍しくない。したがって「応動5分以内」という時間軸そのものは、新設のPCSであれば技術的には満たしうる。問題になるのはむしろ、その速さを系統運用者へ証明し、指令を低遅延で受け取るための通信の作り込みであり、ここに二次①固有の参入ハードルが集中している。




