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容量拠出金の実務(2026年度):小売の支払スケジュールと経過措置控除

Capacity Payment in Practice (FY2026): Retailer Billing Schedule and Transition Deductions

電力広域的運営推進機関(OCCTO)が2025年10月に開いた小売電気事業者向けの容量拠出金説明会では、2026年度実需給ぶんの算定方法と支払い日程が整理された。容量市場で確保した将来の供給力(kW)の費用は、各社のkWシェア等で按分されて小売の固定的な調達コストになる。年間総額

公開日: 2026/6/25更新日: 2026/6/25

CONTENTS

  1. この記事の要点
  2. 一文要約
  3. 容量拠出金とは — 供給力確保義務を費用面から支える仕組み
  4. 誰が負担し、誰が受け取るのか — kWシェアによる按分
  5. 支払いはいつ始まるのか — 年間総額が先、月次が後
  6. 経過措置控除とは — 古い電源と低位応札を割り引く
  7. 控除は逓減していく — いまは軽い、将来は重い
  8. 小売・発電・アグリゲーターから見た意味
  9. 確定していること、確認が要ること
  10. まとめ
  11. 参考文献
  12. よくある質問

この記事の要点

  • 容量市場で確保した将来の供給力(kW)の費用は、最終的に小売電気事業者が容量拠出金として負担する(出典:OCCTO 容量拠出金説明会・2025年10月)。
  • 2026年度実需給ぶんは、2025年12月頃の仮請求額通知書で年間総額の見込みが先に分かり、本請求書は2026年7月から発行が始まる。
  • 各対象月(N月)の請求書はN+3月に発行され、振込期日はN+4月の9日になる。
  • 小売の負担総額は、エリア総額から一般送配電・配電の負担分と経過措置の控除額を差し引いて算定される。
  • 2026年度の経過措置控除は、2010年度末以前に建設された電源に控除率6.0%、応札価格が約定価格の85.6%以下だった電源に入札内容控除がかかり、いずれも控除は逓減していく設計である。

一文要約

電力広域的運営推進機関(OCCTO)が2025年10月に開いた小売電気事業者向けの容量拠出金説明会では、2026年度実需給ぶんの算定方法と支払い日程が整理された。容量市場で確保した将来の供給力(kW)の費用は、各社のkWシェア等で按分されて小売の固定的な調達コストになる。年間総額の見込みは2025年12月頃の仮請求額通知書で先に把握でき、本請求書は2026年7月から発行が始まる。各対象月(N月)はN+3月に請求書が出てN+4月の9日が振込期日になり、負担総額はエリア総額から送配電・配電の負担分と経過措置控除を差し引いて求める。本記事はこの支払スケジュールと経過措置控除の仕組みを当社が整理して解説する。

容量拠出金とは — 供給力確保義務を費用面から支える仕組み

容量市場は、将来必要になる供給力(kW)を前もって確保しておくための制度である。OCCTOがメインオークションで電源等の供給力を確保し、その確保にかかった費用を、最終的に小売電気事業者が容量拠出金として支払う。電気を実際に何kWh使ったかに対する卸電力の代金とは別に、「いざという時のためにkWを押さえておく費用」を負担する、という性質の費目である。

費用負担そのものは2024年度実需給ぶんから本格化しており、本記事はそのうち2026年度実需給ぶんについて、OCCTOが小売向け説明会(2025年10月)で示した算定の考え方と支払い日程を扱う。小売にとっては、毎期発生する固定的なコスト項目として、卸調達や託送料金と並べて資金計画に組み込むべきものになる。

費用の流れを整理すると、確保したkWの費用は受け取る側である発電事業者に容量確保契約金額として支払われ、その原資を小売がkWシェア等に応じて拠出する、という構造である。供給力を提供する側(発電・蓄電池・アグリゲーターが束ねたリソース等)にとっては収入の原資、需要に応じて電気を販売する小売側にとっては負担、という非対称な関係になる。

容量拠出金の実務(2026年度):小|図1

項目内容

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容量拠出金容量市場小売電気事業者経過措置控除支払スケジュール発電事業者

よくある質問

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確保する対象将来必要になる供給力(kW)
確保する主体OCCTO(容量市場メインオークション等)
費用を負担する側小売電気事業者(容量拠出金)
費用を受け取る側発電事業者(容量確保契約金額)
按分の基準小売のkWシェア等

容量市場の制度そのものや追加オークションの動きについては、当ナレッジベースの容量市場 追加オークションの解説記事も合わせて参照されたい。本記事はそのうち「小売が現実にいつ・いくら・どの順番で払うのか」という実務面に絞って整理する。

誰が負担し、誰が受け取るのか — kWシェアによる按分

容量拠出金の負担額は、OCCTOが容量市場で確保したkWの費用を、小売各社のkWシェア等で按分して決まる。シェアに比例して負担が決まるため、需要規模が大きい小売ほど負担額も大きくなる。逆に、自社の需要見通しが動けば、按分の結果としての負担総額も動く前提で見ておく必要がある。

ここで重要なのは、小売が負担するのはエリア総額そのものではない、という点である。負担総額は次の順で組み立てられる。エリアごとに確保にかかった総額からまず一般送配電事業者・配電事業者の負担分を差し引き、さらに後述する経過措置の控除額を減算する。そうして残った額を、小売各社がkWシェア等で按分して負担する。

算定の段階操作
出発点エリア総額
控除1一般送配電・配電の負担分を差し引く
控除2経過措置の控除額を差し引く
按分残った額を小売のkWシェア等で按分

受け取る側は発電事業者で、確保された供給力に対して容量確保契約金額として支払われる。蓄電池やアグリゲーターが束ねたリソースで容量市場に参加している場合も、提供した供給力に応じた収入の原資はこの仕組みから出る。なお、本記事は制度と日程の解説であり、個別案件の収入見込みについては触れない。

支払いはいつ始まるのか — 年間総額が先、月次が後

2026年度実需給ぶんの支払いは、「年間総額の見込みが先に分かり、月次の本請求が後から始まる」という二段構えになっている。この順番を理解しておくと、予算化と資金繰りの設計がしやすい。

容量拠出金の実務(2026年度):小|図2

最初に届くのが仮請求額通知書である。これは2025年12月頃に発行され、2026年度ぶんの年間総額の見込みを示す。実際の支払いが始まる前に年間の負担規模をつかめるため、年度予算へ反映するための重要な一次情報になる。

本請求書の発行は2026年7月から始まる。ここから月次の支払いリズムに入る。各対象月(N月)の請求書はN+3月に発行され、振込期日はN+4月の9日になる。つまり、ある月の実需給に対応する請求が約3か月遅れて発行され、その翌月の9日までに振り込む、という一定のパターンで回っていく。

項目タイミング
年間総額の見込み(仮請求額通知書)2025年12月頃
本請求書の発行開始2026年7月
各月の請求書発行対象月N月のN+3月
振込期日N+4月の9日

この「N+3月発行・N+4月9日振込」という関係は月次で一定なので、支払いフローを定型業務として組み立てやすい。逆に言えば、リズムが決まっているからこそ、振込手続きを定型化して遅延を防ぐ運用設計が効いてくる。

容量拠出金の実務(2026年度):小|図3

経過措置控除とは — 古い電源と低位応札を割り引く

2026年度の容量拠出金には、経過措置控除がかかる。これは、容量市場を本格導入するにあたり、既存電源が一斉に容量収入を得ることで小売の負担が急に重くならないよう、移行期間中は容量確保契約金額の一部を割り引く仕組みである。控除は小売の負担総額を引き下げる方向に働く。

控除には大きく二つの種類がある。一つは電源の経過年数に着目した経過年数控除、もう一つは応札水準に着目した入札内容控除である。いずれも、確保された電源の容量確保契約金額を減額し、その結果として小売が按分すべき負担総額を圧縮する。

経過年数控除は、2010年度末以前に建設された電源を対象に、容量確保契約金額に控除率6.0%を適用して減額するものである。古くから稼働している既存電源がそのまま満額の容量収入を得ると、それがそのまま小売負担に乗ってしまうため、その分を抑える趣旨である。

入札内容控除は、応札価格が約定価格の85.6%以下だった電源を対象に、その電源の容量確保契約金額を減額するものである。約定価格よりかなり低い水準で応札して約定した電源の分が、小売負担に過大に乗らないよう調整する仕組みである。ただし下限があり、約定価格(基準価格)の50%以下まで下げて約定した電源には経過措置控除(経過年数控除・入札内容控除)は適用されず、満額負担となる。控除が適用されるのは約定価格の50%超〜85.6%以下の電源であり、85.6%超と50%以下を除いた中間帯だけが減額対象になる、という二段構造になっている。

容量拠出金の実務(2026年度):小|図4

控除の種類対象2026年度の前提値
経過年数控除2010年度末以前に建設された電源控除率6.0%
入札内容控除応札価格が約定価格の85.6%以下だった電源当該電源の契約金額を減額
反映先—小売の負担総額の算定時に減算

ここで挙げた控除率(経過年数6.0%・入札85.6%)は2026年度実需給ぶんの前提値であり、出典はOCCTOの容量拠出金説明会(2025年10月)資料である。控除率は年度ごとに変わる設計のため、毎年の確認が前提になる点に注意が必要である。

控除は逓減していく — いまは軽い、将来は重い

経過措置控除でもっとも実務に効いてくるのが、「この控除は時間とともに縮小していく」という設計である。移行期間の措置であるため、控除の効き方は年度ごとに逓減していき、最終的には本来の負担額に近づいていく。

これが意味するのは、足元の拠出金は経過措置によって本来額より圧縮されている、ということである。したがって、いまの負担額をそのまま将来に延長して見積もると、実態より軽く読んでしまう。複数年の見通しを立てるときは、控除が縮むぶんだけ負担が増えていく方向を、あらかじめ織り込んでおく必要がある。

容量拠出金の実務(2026年度):小|図5

発電側から見ると、経過措置控除は受け取り側の調整でもある。建設年が古い電源や低い水準で応札した電源は、容量確保契約金額の受け取りが控除率に応じて減る。保有電源の建設年と応札水準によって受け取りが変わるため、電源ポートフォリオ単位での影響点検が実務になる。

なお、控除率の具体値や逓減のスケジュールは年度ごとに更新され得るため、当社としては「現時点の前提値で2026年度の見積りを組み、将来分は控除縮小を見込む」という二段の整理を推奨している。確定しているのは2026年度実需給ぶんに適用される前提値であり、それより先の年度の具体的な控除率は、その都度OCCTO資料で確認するべき性質のものである。

小売・発電・アグリゲーターから見た意味

同じ制度でも、立場によって意味合いが変わる。ここでは三者それぞれにとっての論点を整理する。

小売にとっては、容量拠出金はkWシェア等に応じて発生する固定的な調達コストである。年間総額の見込みは2025年12月頃に分かり、2026年7月から月次の支払いが始まるため、資金繰りに直接効いてくる。経過措置控除があるうちは負担が圧縮されるが、控除は逓減していくため、翌年度以降の負担増を見込んだ複数年の資金計画が要る。

発電事業者にとっては、拠出金は容量確保契約金額として受け取る側の原資である。確保した供給力に対する収入の裏付けになる一方、経過年数控除・入札内容控除の対象になる電源は受け取りが減るため、保有電源の属性によって影響が分かれる。

容量拠出金の実務(2026年度):小|図6

アグリゲーターにとっては、立場によって両面がある。小売を兼ねる場合や小売へ卸供給する場合は、拠出金の負担が取引条件や提示価格に転嫁・波及しうる。一方、蓄電池等のリソースを束ねて供給力を提供する側に立つ場合は、その供給力に応じた収入の原資にこの仕組みが関わってくる。当社のような蓄電池アグリゲーターの事業の組み立てについては、系統用蓄電池アグリゲーション業務の解説も参照されたい。

立場容量拠出金の意味
小売kWシェア等に応じた固定的な調達コスト。資金繰りに直接効く
発電事業者容量確保契約金額として受け取る原資。控除対象電源は受け取りが減る
アグリゲーター小売兼業・卸供給なら負担が転嫁・波及。供給力提供側なら収入原資に関与

確定していること、確認が要ること

実務で混乱しないために、本記事で扱った内容のうち、何が確定していて、何を毎年確認すべきかを切り分けておく。

確定しているのは、2026年度実需給ぶんについてOCCTOが小売向け説明会(2025年10月)で示した算定の考え方と支払い日程である。具体的には、(1)費用を最終的に負担するのは小売であること、(2)按分はkWシェア等によること、(3)仮請求額通知書が2025年12月頃・本請求書が2026年7月発行であること、(4)各月の請求書がN+3月発行・N+4月9日振込であること、(5)負担総額がエリア総額から送配電・配電負担と経過措置控除を引いて算定されること、(6)2026年度の控除率が経過年数6.0%・入札85.6%であること、である。

一方で、確認が要るのは将来年度ぶんである。控除率は年度ごとに変わり、経過措置は逓減していく設計のため、2027年度以降の具体的な控除率や負担額の見通しは、その都度OCCTOの最新資料で確かめる必要がある。金額・期日についても改定されうるため、最新は容量市場スペシャルサイト等の公式情報で確認するのが原則である。

容量拠出金の実務(2026年度):小|図7

当社としては、「2026年度ぶんは確定した前提で予算化し、将来年度ぶんは控除縮小を見込んで複数年で構える」という整理を実務の出発点として推奨する。確定情報を起点に足元を固めつつ、年度更新のたびに前提値を入れ替える運用にしておくと、制度改定に振り回されずに済む。

まとめ

2026年度の容量拠出金は、小売にとって「年間総額が先に見え、月次の支払いが後から一定リズムで回る」固定的な調達コストである。経過措置控除によって足元の負担は圧縮されているが、控除は逓減していくため、将来の負担増をあらかじめ見込んでおくことが要になる。

実務として押さえるべきは次の3点に集約される。

  1. 2025年12月頃に届く仮請求額通知書で年間総額の見込みを押さえ、年度予算へ早めに反映する。
  2. 2026年7月以降の月次請求(N+3月発行・N+4月9日振込)の支払いリズムを定型業務化し、資金繰り計画に組み込む。
  3. 経過措置控除(経過年数6.0%・入札85.6%)は年度固定値として2026年度の見積りに使い、複数年の見通しでは控除が縮むぶんの負担増を織り込む。

供給力を提供する側として容量市場・需給調整市場への参加を検討する事業者は、自社リソースがどの市場でどう収益化しうるかをLehmanSoft 収益シミュレーターで試算し、具体的な事業組成の相談はLehmanSoft 業務ページから問い合わせるとよい。

参考文献

  1. 電力広域的運営推進機関(OCCTO) 容量拠出金説明会(小売電気事業者向け・2025年10月)(https://www.occto.or.jp/assets/various/capacity-market/youryou_setsumeikai/251014_youryou_kyoshutsukin_setsumeikai_r2.pdf)
  2. 電力広域的運営推進機関(OCCTO) 容量拠出金を知ろう!(容量市場スペシャルサイト)(https://www.occto.or.jp/capacity-market/kyoshutsukin_know/)
  3. 電力広域的運営推進機関(OCCTO) 容量市場(https://www.occto.or.jp/market-board/market/index.html)
  4. 電力広域的運営推進機関(OCCTO) 容量市場 メインオークション約定結果(https://www.occto.or.jp/market-board/market/youryou_system.html)

本記事は2026年6月25日時点の公開情報に基づき作成された。制度・価格・控除率・支払日程は予告なく変更される場合があるため、実務判断にあたっては最新の一次情報および専門家への相談を推奨する。