この記事の要点
- エネルギー供給構造高度化法は、小売電気事業者に2030年度の非化石電源比率44%以上を求めている(出典:資源エネルギー庁)
- 評価対象は、前年度の電気の供給量が5億kWh以上の小売電気事業者等。国が事業者ごとに目標を毎年通知し達成状況を評価する
- 達成度は3年単位の中間目標(フェーズ)で区切られ、2026年度は第3フェーズ(2026〜2028年度)の初年度にあたる
- 小売は自社電源だけでは目標を満たしにくく、不足分は非化石証書を市場で調達して充当する。証書は高度化法義務達成市場と再エネ価値取引市場で取引される
- 報道などで見かける具体的な中間目標値は確定値とは限らないため、必ず資源エネルギー庁の一次資料で確認する
一文要約
資源エネルギー庁によれば、エネルギー供給構造高度化法は前年度の供給量が5億kWh以上の小売電気事業者等に対し、2030年度の非化石電源比率44%以上という目標を課している。その達成度は3年単位の中間目標で評価され、2026年度は第3フェーズ(2026〜2028年度)の初年度にあたる。小売は自社の電源構成だけで目標を満たすことが難しいため、不足分を非化石証書として市場で調達し、目標に充当する。証書は非FIT証書を扱う高度化法義務達成市場と、FIT証書を扱う再エネ価値取引市場で取引され、その価格や取引方法といった制度の細部は制度検討作業部会で継続的に見直されている。本記事は、確定している骨格と審議中の論点を一次資料に基づき切り分けて整理する。
高度化法の非化石電源目標とは
エネルギー供給構造高度化法(正式名称:エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律、通称「高度化法」)は、エネルギー供給事業者に対し、供給する電気のうち一定割合を再生可能エネルギーや原子力などの非化石電源にすることを求める法律である。
電力分野では、小売電気事業者が供給する電気の「非化石電源比率」を引き上げることが目標として設定されている。資源エネルギー庁によれば、その最終的な到達点は2030年度の非化石電源比率44%以上である(出典:資源エネルギー庁 高度化法 中間目標達成状況の評価)。これは個社の努力目標ではなく、法律に基づく目標として国が達成状況を評価する仕組みになっている点が特徴である。
ここで重要なのは、目標が課されるのは全ての小売ではないという点である。高度化法では、前年度の電気の供給量が5億kWh以上の小売電気事業者等を評価対象とし、国が事業者ごとに達成すべき非化石電源比率を毎年通知し、その達成状況等について評価を行う。規模の大きい事業者ほど、自社の調達計画のなかで非化石電源比率を意識的に管理する必要が生じる。

非化石電源とは、発電時にCO2を排出しない、あるいは化石燃料を燃焼させない電源を指す。具体的には太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギーに加え、原子力が含まれる。高度化法の目標は「再エネだけ」ではなく「非化石」という広いくくりで設定されている点に注意したい。再エネと原子力を合わせて非化石電源と整理されるため、小売各社の調達戦略も再エネ証書の調達だけに限られるわけではない。

